【現存せず】本気過ぎた昭和の上野!レトロで怪しい「上野松竹デパート」を巡る

台東区

久しぶりに上野を訪れた。上野駅から上野公園方面を見渡すと、ホームレスのオッサン達が占領する西郷像の真下に並ぶお馴染みの古びたビルディングは半分だけだが未だに健在だ。

長らく東北地方のおのぼりさん御用達であったレストラン聚楽台がリニューアルの為に無くなってしまった現在、この怪しげなビルの右側半分「上野松竹デパート」が古き良き昭和の上野駅前を物語る最後の生き証人となったようだ。

6-188.jpg

上野松竹デパートの看板の文字といい、とても現代のセンスでは再現出来そうにないクオリティを兼ね備えている。生憎一階部分はフツーに100円ショップになっている訳だが、それでもインパクトの強い外観だ。

6-184.jpg

それにしてもこのビルの中に実は入った事がなかったりする人は案外多いのではなかろうか。駅前の分かりやすい場所にあるからこそ見逃してしまっていた我々取材班も灯台下暗しといった所で迂闊だった訳だが…

特に三階部分にある「上野囲碁センター」は完全に行き交う人々の視線からは疎外された亜空間と化しており、外から見えるガラス窓からは囲碁に熱を上げるオヤジ達の姿がかすかに目に入る。

6-196.jpg

アナログ全開な看板を店の前に掲げている上野囲碁センター。入場料800円で一日中碁が打てるようで良心的価格。「囲碁初心者(特に女性の方)大歓迎」と書かれている上に女性は100円引きになっているが見るからに全く女っぽさが感じられない。

6-197.jpg

くすんだコンクリートの壁が囲う階段を登った先、3階に囲碁センターがあるが、2階と地下1階は「上野セントラル」という映画館が入っていた。4つのスクリーンを持っていて、この建物のメインだった施設だが残念ながら2006年で閉館している。

6-185.jpg

映画館も無くなって隣のレストラン聚楽台まで消えた現在、この建物もそろそろ解体間近か?と思う傍ら相変わらず威勢がよさそうな1階部分。100円ショップの他にもなんだか怪しげな店が何軒か入っている。

6-186.jpg

かつての映画館の入口部分は古本屋の販売スペースに変わっていた。「上野セントラル」の文字も未だに残っている。中国語で案内が書かれているのは場所柄の問題だろうか。

6-187.jpg

この地下が「上野古書のまち」という古本屋のメイン部分になっている。中に入ると古本屋独特の匂いとともに様々なジャンルの本が置かれているが、所謂ピンク系の古書が多いのが目に付いた。やはり上野は品揃えが違う。古本屋の向かいにも映画館の入口の面影を残す看板があった。映画館部分は全て閉鎖されていて中の様子は分からない。

6-195.jpg

上野松竹デパートで最もパンチが効いているのが100円ショップ等店舗が入るこの一角であろう。村田薬品という薬局が正面にあるが、この薬局も上野という土地柄を反映してかソッチ関係の品物が豊富である。

6-189.jpg

1階店舗部分に足を踏み入れると、手前は100円ショップであるが奥の方は画材屋になっていたり色々とややこしい事になっている。古い店舗なりのカオスさが感じられて面白い空間だ。今の日本でどんどん姿を消そうとしている光景。

6-190.jpg

で、普通の家族連れがお買い物をしている100円ショップの隣に唐突に怪しげなグッズを容赦なく並べるいかがわしい店がある。さすがは東京一胡散臭い街、上野。思わず吹き出してしまった。

6-191.jpg

ある意味ドンキホーテとかにある同様のコーナーを凌駕するクオリティを見せる幅広い品揃え。やっぱりこれが上野の本気ですよね。いやはや。

あまりにリアル過ぎる売り物が多いので、ついモザイク掛けてしまいましたが、本当に誰の目にも付くような場所にあるんだもん。考えれば日本が世界に誇るリアルドールのオリエント工業だって御徒町だし、上野界隈ってソッチ系産業の首都みたいな所なんですね、歴史的に見ても。

そんな昭和の生臭さと下品さをここ上野の地で容赦なく見せつけていた「上野松竹デパート」は2012年8月に閉鎖、同年末に解体されている。跡地には「上野の森さくらテラス」とかいう小奇麗な商業施設に生まれ変わりましたとさ。こうして街は「洗浄」されていくのだ。


タイトルとURLをコピーしました