東武東上線で東京の最果てにある板橋のベッドタウン「成増」を歩く (2010年)

板橋区

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成増団地から成増厚生病院前の三叉路を右に折れると赤塚城址公園に至る。この周辺は昔から市街化していたようで、古い民家が非常に目立つ。

この周辺には昔からの個人商店を除けばコンビニくらいしか店がない。23区らしい発展ぶりとは無縁の地域で雰囲気は「手付かずの東京の下町」とも言える。

やはりこの付近も同様に起伏の激しい丘陵地帯が続いていて街並みが独特だ。杉並区や練馬区などが緩やかな坂道が多いのに対して、板橋区の坂道は歩行者に優しくない。同じ武蔵野台地の北側の辺縁にあたるためか、地形にも微妙な違いがあるのだ。

そうこうしているうちに赤塚城址公園へ辿り着く。首都高5号池袋線の南側に広大な敷地を有する都立公園の一つで、公園西側の赤塚城址に溜池公園と区立郷土資料館、区立美術館などがある。

溜池公園に来ると地元のオッサン連中が釣りを楽しんでいる風景が見られる。

赤塚城址公園内にある板橋区立郷土資料館。「入場無料」という言葉に弱い東京DEEP案内取材班が早速入場しますよ。

屋内では中山道の宿場町「板橋宿」があった板橋区の貴重な郷土品の数々を展示しており、高島平の地名の元となった砲術家・高島秋帆の作った西洋式大砲の現物や、板橋宿にあった遊郭「新藤楼」の玄関が移設されていたりと見所が多いが、特に茅葺き屋根の民家が屋外に現物展示されている所が素晴らしい。

背後にそびえる赤塚城址の裏山の存在もあり雰囲気は23区のそれとは程遠い田舎っぷりで萌えまくり。都内でも茅葺き屋根の民家が現物展示されている場所は非常に珍しい。貴重な存在だ。

江戸時代後期に建てられた古民家・旧田中家住宅の内部。徳丸地区にあったものを移築してこの資料館に展示されているのだ。江戸の農民の暮らしぶりについて色々妄想を掻き立てられる。

赤塚城址公園からは「東京大仏通り」と書かれた道が伸びている。東京都内随一の大仏が建立されている乗蓮寺に続いている。

東京大仏通りに面して都内とは思えない景色が容赦なく広がる。ダンプカーの駐車場の背後にも裏山が広がる。

途中で洞窟の入口のようにぽっかりと穴が開いたミステリアスな空間がある。近づいてみるとそこは「不動の滝」と呼ばれる史跡の一つだった。

不動の滝の近くに掲げられた案内看板。昔はこの場所から湧き水が滝となって溢れ出てきたと言う。武蔵野台地の地形ならではの自然現象だったが、宅地開発によって滝の水は徐々に流れなくなってしまったとか。

不動の滝は、関東特有の富士講などの山岳信仰で修験者が滝修行を行っていたとも言われる場所で、現在もその趣きを残している。

現在、不動の滝の水はジジイのキレの悪い小便のごとく、殆ど流れなくなってしまっている。

高島平団地が近いこの界隈は昔、徳丸ヶ原と呼ばれる湿地帯であり、古戦場として多くの戦死者が出たという事で、この不動の滝も心霊スポットの一つとして知られている。

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板橋のベッドタウン「成増」を歩く (2010年)

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