今回やってきたのは新宿から京王線に乗って笹塚の次にある「代田橋駅」。割と都心にも近いし便利そうな土地柄なんですが駅前商店街はちょっとしょぼい感じもするし栄えているのかいないのかよく分からない街である。
代田橋駅前は世田谷区大原という地名になる。駅近くにある和田堀給水所が地味に有名で、桜の開花時期は敷地が開放されてレトロな水道施設が見られたり(老朽化により建て替え中)、甲州街道北側の杉並区和泉に沖縄タウンがあったりするけど、やっぱりパッとしない地味な街ですよね。
代田橋駅の南口を降りて和田堀給水所とは逆方面に歩くと南口通り商店街という地味な商店街が環七方面に伸びている。新宿から目と鼻の先とは思えない土着臭溢れる小さな商店街に個人商店が密集している区画である。
今どき「ニート」と言えば無職のNEETであると広く認識された為にこの名前にしたせいで何かとネタにされがちなネーミングの洋服直し屋さんがあったりしますが、それほど思いつくネタも無さそうなのが代田橋南口通りです。
商店街はわずか100メートル程度で終わり、その先には「玉川上水緑道公園」という児童公園が現れる。玉川上水の暗渠の上に建てられた公園で、もう見るからに川の跡と思しき形状が分かる。
そんな公園もあまり子供が遊んでいたりリア充なパパママがいるようなアッパーな雰囲気は微塵も感じられず、その代わり公園を占拠しているのはホームレスみたいな妙なオバハンやオッサン達だ。一般的な上京民が抱く世田谷区のイメージとは程遠い陰鬱さが漂う。
この公園で肩を寄せ合うのは何もホームレスだけではなかった。そのへんの野良猫も出てきて日向ぼっこしていた。
ホームレスと猫の憩いの場となった暗渠上の公園には向岸地蔵尊という古いお地蔵様が大事そうに祀られていた。二百有余年前もの昔からの所以があるとかそういう話の案内板が傍らに置かれていた。玉川上水が作られたのはそれよりももっと昔の話。
玉川上水緑道公園に面して、あまり聞いたこともないような名前の宗教施設らしき建物が隣り合っているのが妙に気になる。宗教法人天道総天檀とな?!
宗教施設の建物前には教団の教義やら、宗教儀式らしきものの体験者の声なんぞが書かれた張り紙がびっしり。うむー、こんな団体があるとは知らなんだ。兵庫県三田市にある弥勒寺の関連施設のようですが…
さらに暗渠上公園を挟んだ向かい側には見た目にもなかなか壮絶なボロアパートがそびえているのであった。入口のところに板が置いてあって入れないんですが、人って住んでるのこれ。
長年の経年劣化でボロッボロに削れ落ちた門柱に「御下宿」と書かれた年代物の表札が掲げられていたのだ。御下宿…なんと古式ゆかしい言葉の響きでありましょう。
さらに反対側の門柱にある表札には「代田荘」というアパートの名前と住所が書かれていたのだが、住所をよく見て欲しい。「東京市世田ヶ谷區大原町」になっているのである。つまりこれは戦前の住所表記か!いくらなんでも古過ぎるだろ。