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【マリナーゼからドロヌマーゼへ】東日本大震災の液状化被害を受けた「舞浜」を歩く (2011年)

京葉線舞浜駅で降りる。ここは東京ディズニーリゾートへ遊びに来る観光客でなければ、わざわざ訪れる機会もないような場所だ。しかしここも3月11日の大震災で新浦安同様深刻な液状化被害に見舞われ、折りしも計画停電など電力供給の不安定な事情もあり肝心のディズニー関連の施設が全て営業休止に追い込まれ、舞浜駅開業から初めて「ディズニーのない舞浜」を経験する事となる。

いつもならネズミ頭の家族やカップルがキャーキャー言ってるような浮ついたノリの舞浜駅改札口に降りると人の姿が全くない。今までこんな舞浜を見た事がない。ある意味東京近郊で最も街の空気が変わってしまった場所ではないだろうか。

改札からディズニーリゾート方面へ向かうペデストリアンデッキに来る。やはりここも人の姿はまばらだ。地震の被害だろうか歩道橋は一部封鎖されている。

改札を出て左側にある商業施設「イクスピアリ」はディズニーランドより一足先に営業を再開していたが、肝心のディズニーランドなどが軒並み閉まっているので客の姿は異常に少ない。

ペデストリアンデッキの上にいる限りはさほど目立った被害がない…と思っていたら甘かった。下に降りた所のバス乗り場の様子を見ると、液状化による地盤沈下が激しく路面がグッチャグチャにダメージを受けているのだ。

基礎工事をしているペデストリアンデッキの支柱の周りだけが地盤沈下を免れていて、それ以外の部分が大きく沈み込んでいる。遠目に見ると路面が極端に波打っている格好となったのだ。アスファルトや点字ブロックが剥がれて地肌が見えてしまっていた。

浦安市全体の被害エリアがあまりに広すぎる為か、震災一ヶ月が経ったこの時期でもバス乗り場の復旧工事は全く手付かずのままといった印象だった。

それでも凹みが酷い場所には応急処置的にアスファルトが敷設されている。なにせ総被害額733億円だもの。それを人口16万人の市ですぐどうにかするのも限界がある。恐らく復旧は数年単位に及ぶだろう。

別アングルから地盤沈下の具合を見る。かなり凹みが目立っている事が確認できよう。夢の国への玄関口で否応無く見せ付けられる激甚災害の現実。

舞浜駅のバス乗り場からはディズニーの観光客を輸送するバス以外にも周辺の住宅街や鉄鋼団地などに連絡する路線バスがかなり頻繁に乗り入れしている。

駅前のペデストリアンデッキを一周してみたが全体的にこのような形となっていた。50センチ近い隆起。塗装がしていない部分から下は、もともと地面の下に埋まっていたはずの部分だ。

地盤沈下で出来た段差は盛り土で辛うじて埋め合わせていた。浦安市は震度5強の揺れでここまで深刻な被害を被った。これが震度6とか7とかが襲った日にはどうなる事だろう。海に沈んだりしないだろうか。

連日超満員のディズニーリゾートとは裏腹に人っ子ひとり居ない謎の噴水モニュメントの周囲も容赦なく地盤沈下の被害に遭っている。

その周辺の電気系統設備や電柱なども無残に大きく傾いていた。よく見ると大量の噴砂がまだ地面にこびりついたままになっている。

駅を離れてイクスピアリの脇から浦安市運動公園に向けて歩く事にする。

ディズニー関連施設はイクスピアリも含めて事前に基礎工事をしている事もあって施設そのものが液状化被害を受けたような事は一切なかったそうだ(その代わり駐車場は例外)

イクスピアリの周辺だけは見事に無事。この極端な違いは一体…

舞浜駅からイクスピアリを横目にとぼとぼ歩いてきた。周囲は殆どTDLを運営するオリエンタルランドの敷地となっているが、その先は浦安市運動公園などがあって、何もディズニー一枚岩という訳ではない。

ディズニー関連の敷地は液状化で砂が吹き上がったりマンホールが浮いたりといった現象は皆無で、地震の影響をまるで感じさせない。しっかり基礎工事をやっていたからだろう。

遠目にディズニーシーの火山が見える広い道路に出るとその向こうは「夢の国」と現実世界との境目。

イクスピアリの前の道路を突き当たった先に浦安市運動公園の敷地が広がる。正面には岡本太郎作「躍動の門」の巨大オブジェ。ディズニーリゾートの裏側は岡本太郎ワールドだった。だがその手前には大量に寄せ集められた噴砂の山。

巨大オブジェの土台を取り巻くように、やはりここにも地盤沈下の跡が見られる。何事もないディズニーリゾートの敷地とは対照的に液状化の被害が目立つ。

排水溝を境に段差が出来ておりそこから大量の噴砂があったようだ。横一列に並べられた土嚢で段差が埋められている。

運動公園の中をぐるっと一周してみる事にした。舞浜イコールディズニーで、よもやこんな公園があるとは部外者には殆ど知られていないが、いつもは浦安市民な家族連れがやってくるローカルな公園である。

しかし公園のあちこちには無情にも「危険ですのでご利用はできません」の注意書きと共に置かれたカラーコーンが、この公園の実情を訴えている。

路上のコンクリート舗装もあちこち豪快に破損してしまっている。浦安市の行政も住宅街の復旧で手一杯でここまで工事の手を回せないのだろう。

恐らく地震直後にはこの一帯全てが泥で埋まっていたのだろう。寄せ集められた泥の山と、明らかに泥を被った跡が見えるタイル張りの地面に後片付けの苦労が窺い知れる。

海賊船チックな遊具が中央に配置された児童向けスペース。ちょうど桜の開花シーズンでもあって普段なら近所の家族連れで賑わうはずだが、人っ子ひとり居ない。

液状化で吹き上がった泥が堆積して乾燥し、板チョコ状態になっていた。死んだように静まり返る公園に異常事態を実感する。

遊具の一部だろうか、ウッドデッキ状の遊歩道が続いているが、これも地盤沈下で思いっきり傾いてこの通り。

桜満開で絶好のお花見日和のはずが誰一人として人の姿を見かける事がなかった。考えてみたら新浦安住民の殆どが花見どころではない生活状況なのだ。家が傾くわ便所は流せないわ、毎日水を汲みに行かにゃならんわ。

綺麗に敷き詰められたはずの芝生の一部が噴砂でやられている。

公園内を進むと巨大な総合体育館の建物が見えてくる。まだ真新しさを感じさせるガラス張りの建物。しかしガラスが割れたりという被害は見られなかった。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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