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下町体感ゾーン「谷根千」の変なお店探し 

日暮里駅を降りた西側一帯、荒川区西日暮里、台東区谷中、文京区根津・千駄木に跨り、戦災や大規模開発を免れた古い街並みが広がる貴重な下町エリア、谷中、根津、千駄木それぞれの地名の頭文字を取り通称「谷根千」と呼ばれる場所を訪れる。

日暮里駅から半ば観光地と化している下町の商店街「谷中ぎんざ」に至る道の途中に、明らかに異質な存在である変わった店が目に付く。

これまた見事な張り紙多用系電波物件である。よく見なければ何の店かさっぱりわからないのだが、看板には「長命源」と書かれている。軒先にはスーツを着てはいるがしわくちゃの爺さんが何やら仕度をしているようである。なんだここは?

我々が店に近づくやいなや、いきなり手元から謎のスプレーボトルを取り出して、我々に手を差し出すように要求する謎の爺さん。よく見ると肩からタスキが掛かっている。

「人の幸福を願って九十四年」などと書かれたタスキだ。ますます怪しい。どうやらこの爺さんが店主である。タスキに書かれた通り、御年94歳。

長命源というのは、このスプレーボトルに入れられた液体だった。

そうこうしているうちに腕に謎の液体がスプレーされる。ひんやり感じたのも束の間、腕に付着した液体を確かめるとなんかベタベタして少し気持ち悪いぞ。しかも匂いを嗅ぐと臭い。

謎の液体を売る店の正体は「谷中長命源本舗」。長命源とは店主のオヤジさんが開発したハチミツと黒酢が配合された健康長寿飲料だった。

しかも「飲んでよし!食べてよし!塗ってよし!」ときたもんだ。この長命源、全国探してもここにしか店が無い。
その効き目は94歳になっても健康そのものなオヤジの存在が示しているのだろう。

店の脇にも色々と殺し文句が書かれていていちいちツッコミどころがある。
「一日百円で人うらやむような真珠のような肌に成り其のうえ金が儲かる長命源 お試し無料」

怪しすぎるwwww

やたらとくどいが物凄く幸せになるのだけはよくわかった。少なくとも店主の爺さんはとても健康で幸せそうだ。
「買わなくてもいいからいっぺん試してみてちょうだい」
我々は促されるように店の中へと歩みを進めた。

長生きできる液体を売っているだけあって店構えもおめでたい。どう見ても電波物件だがここまで来るとかえって清々する。

この「幸福門」をくぐると幸せになれるらしい。マンションが建ったり色々と人生が成功するそうだ。なんともおめでたい。

店の中に入ると長命源のボトルがずらりと並べられている。38日分目安で一本3800円。つまり1日100円で、ということである。ボトルはちょっと…という客のためにも小分けにされたお試しボトルなども売られており抜かりが無い。

我々が店の中にいる間にも奥のおばあちゃんの店員から次から次へと長命源の素晴らしさを語られるのだ。新聞に掲載されたり全国各地から宅急便の問い合わせが来ていたり色々凄い。

ちなみに長命源の他にもハゲに利くという「長命源のオリーブ油」なども売っている。

店のショーウインドウにも長命源が掲載されたスポーツ新聞や漫画などが置かれている。漫画をよく見ると西日暮里在住「ピョコタン」のものだった。長命源のヘビーユーザーらしい。

怪しさ爆発の店だが、店の表にまで長命源の配合表がきちんと書かれているのは感心できる。やはり主成分は黒酢とハチミツの模様。

どう見ても冷やかしとしか思えない我々を相手に長命源の素晴らしさを熱く語ってくれた店長の爺さん。きっとこれからも長生きするだろう。130歳まで生きると豪語している。老いても生きる情熱だけは失いたくないものである。

【お悔やみ】「谷中長命源本舗」は2009年中に店長・小林政男さんが逝去(享年95)のため閉店したとの事。人の幸福を願って95年、ご自身の長寿が長命源の効能を何よりも証明していたはずだが、本人がこの世を去った事で薬の存在も幻のものになろうとしているようだ。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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