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東京の空の玄関口、羽田空港の足元は都内とは思えぬ鄙びた漁村だった!「羽田」界隈を歩く 

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東京を訪れる国内外からの多くの人々に馴染み深い羽田空港も、その歴史をひっぺがえしてみると住民を強制移転させて村がまるごと潰されたり、環境悪化による漁業権の放棄など実に生々しく薄暗い苦悩の連続であったことが伺える。

人は人生の苦しみや災難に襲われると神仏に救いを求めるのは世界共通の事だが、とりわけ羽田の住宅街には神社やお地蔵様の姿が目立つ。生活の糧も土地も奪われてしまう訳だから悲惨な気持ちになるのは致し方ない。

しかし当時は東京大空襲で大勢の民間人死者を出した事もあり、羽田での出来事も東京の中で起きた戦争という大きな国民的犠牲のほんの一コマでしかない。

さらに海老取川を北上すると「天空橋」の姿がある。洒落た名前に似つかわしくない形の橋はどう見ても鉄道橋にしか見えない。もともと京浜電気鉄道穴守線の鉄道橋だったが戦後使われなくなり長らく放置されていたものを人道橋に作り替えたのだ。

海老取川を跨いで対岸の空港島へと掛かる天空橋。戦前はこの先にも鉄道が伸びていたのだ。穴守稲荷神社と東洋一の海水浴場に海水プール、それに競馬場まであったという。今で言う所の湘南海岸や江ノ島あたりの位置付けにあったリゾートタウンだったのだろうか。

天空橋の手前にコインパーキングが広がっているだだっ広い土地があるが、これが京急空港線が長らく空港の手前で終点となっていた旧「羽田空港駅」の跡地だ。

もちろん現在の羽田空港駅はターミナルビルの地下にあって、有効な空港アクセス経路となっているが、旧羽田空港駅は旧空港ターミナルからも遠い位置にあるため、駅名だけが見掛け倒しで全く利用価値がないと酷評されていた存在だった。

1993年に天空橋駅(開業当初は羽田駅と名乗っていた)開業の際に手前の穴守稲荷駅から地下を潜る形になり、旧羽田空港駅は廃止されたのだ。1998年に現在の羽田空港駅が開業して現在に至る。

天空橋の上から海老取川を見渡すとやはり大量の漁船が停泊しているのが見える。どう見ても漁村の風景である。羽田空港の利用者もまさか空港の周りにこんな光景が残っているとは想像できないだろう。空港線が地下に潜ってしまっているからなおさら分からん。

その向こうには京急空港線の天空橋駅入口がある。駅舎もホームも全て地下に入っている為、見た目にここに駅があるとは分かりにくい。かなり辺鄙な印象を受けるが、海老取川対岸の周辺住民の利用者がいるようで、ちらほらと乗客が出入りしている。

天空橋駅から空港方面を見ると広大な車道が行く手を遮っている。やはり空港に用事があるなら羽田空港駅まで行く方が賢いようだ。駅前には店らしきものも全く存在せず、寂しい事この上ない。23区最弱駅選手権をやれば、東武伊勢崎線堀切駅といい勝負だ。

東京モノレールの天空橋駅も、無駄に豪華な駅舎だが存在している。京急空港線が羽田空港直結となるまでの5年間は京急利用者がこの駅からモノレールに乗り換えて羽田空港に行っていたそうだ。

モノレール天空橋駅舎の付近からは旧滑走路を金網越しに眺めることができる。今では飛行機の離着陸ははるか遠くで行われている。ひたすら空港の敷地が広がっているのみだ。

再度、海老取川を跨ぐ穴守橋を渡り空港島を後にする。

穴守橋の上からは東京モノレールの線路が地下から這い上がってくる様子を見ることができる。その向こうはANAとかJALとかの航空会社関連の敷地が密集している。モノレールの整備場駅がある。

ここにも巨大な広告看板の跡が骨組みだけ残されている。かつてはどんな広告が掛かっていたのだろうか、知る由もないが。

しかし隣の広告看板にはでかでかと「ポンジュース」と書かれていたので笑ってしまった。しかもこれだけでかいのにちゃんとネオンサインになっているのね。なぜ愛媛のまじめなジュースがこんな所でちゃっかり宣伝しているんだろう。だから蛇口からみかんジュースが出る土地などと言われるのだ。

空港ターミナル移転で広告は殆ど無くなったものの、ポンジュースだけが何故か健在だった。競合する広告が無ければ逆に注目されるのかも知れない。それにモノレールに乗って東京に帰ってきた客に嫌でも目に付く場所にあるのだ。

そんなこと知らないにゃーと言わんばかりの野良猫さん。漁村だからか知らんがこの辺にも野良猫の数が多い。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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